東京高等裁判所 昭和53年(行コ)9号 判決 1978年7月31日
控訴人 株式会社渋谷西村総本店
被控訴人 渋谷税務署長
訴訟代理人 杉浦栄一 高梨鉄男 ほか二名
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事 実 <省略>
理由
当裁判所も、控訴人の本件訴えはいずれも不適法であると判断するものであつて、その理由は、左記のほかは、原判決理由説示と同一であるから、これを引用する。
一 原判決書一八枚目裏八行目から九行目にかけて「右事業年度に先行する昭和三九ないし同四一事業年度についてなした」とあるを「これより先き昭和三九年事業年度以降の法人税についてなした」と、同一九枚目表五行目から六行目にかけて「先行する事業年度についてなされた」とあるを「前記の」と、同七行目に「後の事業年度についてなされた白色申告に対する」とあるを「本件各」と、同二二枚目裏四行目から末行までの記載全部を「本件訴えについて原告適格を有する理由として主張するが、そのような将来の処分は本件各処分と全く別個独立の処分であるし、また、行政処分無効確認の訴えは当該処分の救済を離れて将来の同種処分の予防等を目的としては許されないものであるから、控訴人の右主張は失当である。」と各訂正し、同二〇枚目裏末行の末尾に「また、控訴人のいう青色申告承認取消処分その他被控訴人の行為によつて控訴人が本件各処分に対し法定期間内に異議申立をすることができなかつたものであるとも解することはできない。」と付加する。
二 控訴人が主張し、被控訴人の認める事実関係によれば、本件各処分当時、控訴人主張の青色申告承認取消処分について係争中であり、その取消処分は後に取消されるような瑕疵あるものであつたことになるが、だからといつて、本件各処分について国税通則法七七条一項の適用が排除されるべきものであるとはいえない。従つて、本件各処分は、同条項所定の期間内に適法な異議申立がなかつたことにより、当時、不可争のものとして確定したものと認めざるを得ない。その後に右青色申告承認取消処分が取消されても、既に確定した本件各処分が当然に瑕疵あるものとなるとは解し得ず、被控訴人にこれを取消すべき義務が生ずるものともいえない。況してや、控訴人主張の如く、本件各処分について法定の不服申立期間に関係なく不服申立をなし得るに至る等とは、到底いえない。
よつて控訴人の本件訴えをすべて却下した原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないから、行政事件訴訟法七条、民事訴訟法三八四条、九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 岡松行雄 田中永司 賀集唱)